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次世代移動通信システム


第5世代移動通信システム「5G」とは?

2020年以降のマーケット状況や移動通信に求められる要求条件を考慮し、移動通信システムのさらなる高度化として、第5世代移動通信システム(5G)の検討が世界的に進められている。

5G要求条件
高速・大容量化、超多数端末接続、超低遅延、超高信頼性などを検討


既に複数の5G研究団体、学会、移動通信関係各社で5Gのユースケースや要求条件が検討されており、白書として数多く発表されている。

5G関係者の多大なる尽力により、複数の5G研究団体間で、大枠としてほぼ共通のユースケースと要求条件が見いだされるに至っている。

日本の電波産業会(ARIB)の2020 and Beyond Ad Hoc(20B AH)グループにて2014年に発表された。大枠として世界の共通の認識となっている5Gのユースケースを考慮した要求条件の概要を述べる。


(1)高速・大容量化

現在、LTEの普及が世界的に進み、LTE-Advancedの導入も一部地域で開始されている。
これらシステムにより、移動通信システムの高速化、大容量化が図られ、スマートフォンの普及に伴うトラフィックの増加に対しても、当面はユーザーニーズを満たすことができると考えられる。

しかしながら2020年代を考えた場合に、ウェアラブルデバイスの本格的な普及や4K/8K動画に代表される動画コンテンツの大容量化、娯楽や宣伝のみならず、セキュリティ、医療、教育も含め、高精細静止画・動画コンテンツのニーズはより一層高まると予想される。

これらのユースケースを想定すると、2020年代のトラフィック量は、2010年のトラフィック量から1000倍に増加すると予想されており、5Gシステム容量はこれをサポートすることが大容量化の要求条件となっている。

また、これらの大容量コンテンツをユーザーが快適に利用できるようにするために、高速化の要求条件は10Gbps以上の速度を達成することが要求条件となっている。

(2)超多数端末接続


現在、人と人の通信やサーバー上のコンテンツを人が利用する人と物の通信が主要な通信形態であるが、IoT(Internet of Things)やM2M(machine to Machine)通信に代表される、物対物の通信に対する期待が高まっている。

電力・ガスなどのメーターに対する通信モジュールの設置は現在、普及段階にあり、農業、畜産業、建築物に対するセンサーの設置に対する要求も高まっている。

2020年代には、これらの普及がより一層進むと考えられ、さらに、多種多様なものに通信モジュールを設置することで、ユーザーに対する利便性の向上、セキュリティ向上、コスト削減などの効果が期待できる。

特に自動車や電車などの輸送機器に対する移動通信の期待は高く、自動運転含むドライバーのサポートや、娯楽、安全性の向上等のユースケースがよりいっそう重要視される。

家電や家屋、オフィスに対する遠隔制御やセキュリティ確保もより普及すると考えられる。

また、ウェアラブル端末のような人に対する通信手段も多様化すると考えられる。

眼鏡型端末が代表例としてあげられるが、2020年代には触感通信も実用化されると考えられており、触感を利用したサービスの普及も予想される。

また、ヘルスケアのために衣類などにセンサーと通信機能をもつデバイスを設置するというようなユースケースも考慮されている。

これらユースケースの多様化を考慮すると、現状と比較して極めて多くの端末が存在すると考えられており、5Gに向けては現状の100倍以上の端末接続をサポートすることが要求されている。

(3)超低遅延、超高信頼性


LTE / LTE-Advanced)においても、数十ミリ秒程度の低伝送遅延を実現できているが、2020年代に向けては、触感通信など、ユースケースによってはさらなる低遅延が要求される。

さらに、低遅延かつ高信頼性が求められるユースケースも挙げられている。

車対車通信による事故回避や、ロボットの遠隔制御等が高信頼性のユースケースとして挙げられている。
これらのユースケースを踏まえ、遅延に関してはend-to-endでミリ秒オーダーの低遅延が要求され、特に無線区間においては1ミリ秒以下の伝送遅延が要求される。

更に高信頼性に関しては、99.999パーセントの信頼性が求められる。

ただし、これら低遅延、高信頼性の実現を常にどこでも実現することは、技術的には可能であっても、ネットワーク構築費用的には非現実的であり、特定のユースケースでのみ実現可能とする等の考慮が必要とされている。

(4)省電力化、低コスト化

省電力化の要求はあらゆる産業や社会に於いて重要視されており、ICT産業に於いても例外ではない。

ICT産業の発展に伴い、ICT産業のしめる電力消費の割合は増加傾向にあり、無視できない状況である。更に通信事業者のシステム運用のコスト低減のためにも、省電力化は非常に重要な要求条件となっている。

低コスト化については、過去あらゆる世代の移動通信システムで定性的な要求条件として考慮されており、5Gに向けても重視する必要がある。

特に、トラフィックの延びが顕著な現状において、通信事業者の収入増加は逆に鈍化傾向にあり、5Gに向けてはより一層の低コスト化が求められる。

現段階で、省電力化および低コスト化に関する要求条件として、その定義の仕方とともに具体的な要求条件の数値が世界的に明確になってはいないが、省電力化および低コスト化は5Gの重要な要求条件として考慮されている。

5G
無線技術
高周波数帯の利用や超多素子アンテナ技術が有力候補に


多くの5G研究団体にて、5Gに向けた無線およびネットワーク技術の検討が精力的に進められており、要素技術の候補が数多く挙げられている。

世界的に着目されている無線伝送技術の複数の方向性の内、最も興味を持たれている高周波数帯の活用と、超多素子アンテナ技術について概要を述べる。

(1)高周波数帯の活用


高速大容量化の要求条件を満たすには、無線アクセス技術の進歩だけでは達成は困難であり、さらなる小セル化とともに周波数の拡張も必須である 。

特に、10Gbpsの伝送速度を達成するには、数百MHz以上の周波数帯域幅が必要である。

その一方で、これまで移動通信向けに利用されてきた数百MHzから3GHz程度の周波数帯は、移動通信はじめ多くの無線システムで既に利用されており、これらの周波数帯での追加周波数割当は世界的に困難な状況である。

ましてや、数百MHz以上の周波数帯域幅をこの周波数帯で新たに5G向けに割り当てることはほぼ不可能といえる。

そこで5Gでは、これまで移動通信に用いられていなかった準ミリ波からミリ波までも考慮した高周波数帯の利用と、それを可能とするための技術への期待が高まっている。

具体的には、最大100GHzまでを対象とした検討が進められている。


高周波数帯は、空間伝搬に伴う減衰が大きく、かつ、直進性が高いため、セル半径は小さくなり、建物、樹木、人等による遮蔽の影響が大きくなる傾向があることから、移動通信での利用に対しては今まで不適切とされてきた。

5Gの要素技術としては、これらのマイナスの要素を克服できるものが必要である。

着目されている技術の一つとしては、後述する、多数のアンテナ素子を用いた無線伝送方法に大きな期待が集まっている。

5Gの高周波数帯を利用するための技術開発に向けては、高周波数帯の移動通信環境での無線伝搬特性を明らかにする必要があり、更にそれをシミュレーション評価に用いるための高周波数帯の伝搬モデルを開発する必要がある。

現在、多くの企業、大学、研究プロジェクトで、その測定、解析およびモデル開発が進められている。

(2)超多素子アンテナ技術


多数のアンテナ素子を用いることで、ビームフォーミングと呼ばれる技術により電波の送信を鋭いビーム状にして送信することが可能となる。

こ れにより、無線伝搬減衰の大きい高周波数帯でも、その減衰量を補償して、数百メートルの距離までサービスエリアを確保することができる。

現在、移動機に対する無線伝搬経路が空間に複数存在することを利用し、経路毎の異なる複数のビームを生成して複数のデータ系列を同時に多重伝送して高速化を図ることができるsingle-user MIMO(SU-MIMO)と呼ばれる技術や、その空間多重数を複数の移動機に対して適用して大容量化を図るMulti-user MIMO(MU-MIMO)と呼ばれる技術が既にLTE/LTE-Advancedで適用されている。

5Gに向けては、超多素子アンテナをより積極的に使用することで、その多重数を増やし、更なる高速・大容量化を図ることを目指している。

この技術は一般にMassive-MIMOと呼ばれている。


ビームの形成は現状は水平方向のみを対象として運用されているが、現在の3GPPの標準化作業では垂直および水平の双方を考慮したビーム形成を前提とした議論が進められており、5Gに向けての超多素子アンテナにおいても、垂直及び水平方向のビーム形成を前提として検討されると考えられる。

前述の通り、5Gでは準ミリ波およびミリ波の利用が期待されているが、超多素子アンテナは高周波数帯との親和性が良い。

具体的には、ビームフォーミング技術を利用するアンテナ構成では、アンテナにおける素子のサイズおよび素子の配置間隔は波長に比例する。

これにより、高周波数帯用のアンテナでは、アンテナ素子は小さくなり、配置間隔も狭くなる。つまり、広周波数多様のアンテナでは、アンテナ素子を密に配置することができる。

結果的に、それほどアンテナのサイズを大きくせずに、実装できるアンテナ素子数を増やすことができ、さらなるビームフォーミングゲインを得ることができる。

5Gの無線技術としては、上記の他にも、ユースケースに応じた新たな信号波形技術、超低遅延を実現するための無線フレーム構成やネットワーク構成、既存もしくは現在標準化中の技術からのさらなる拡張技術等、多くの技術が提案されている。

5G
モバイルネットワーク技術
ネットワークのソフトウェア化を中心に検討


5Gのモバイルネットワークの実現に向けて、無線だけではなく有線も含めたネットワーク全体のアーキクチャにおける技術開発の重要性も各国で指摘され検討が進んでいる。

我が国では、5GMFのネットワーク委員会がそのミッションを担い、特に、エンドツーエンドのアプリケーションの品質を考慮し、無線部分の遅延削減や帯域の増強の長所を活かすための有線技術の議論が必要な点、また、無線同様に有線部分でも極めて高いリソース制御の柔軟性が求められることなどが要件として定義されている。

この要件を満たすため、5Gモバイルネットワークアーキテクチャにおいて、我が国が焦点を絞って研究開発をするべき分野として、
(1)ネットワークソフトウェア化(Network Softwarization)
(2)モバイルフロントホール・バックホール技術(MFH & MBH)
(3)モバイルエッジコンピューティング(MEC)の活用技術、そして、
(4)制御管理技術(Management and Orchestration)の4つのエリアに注力するべく戦略が立てられている。

このうち特にネットワークソフトウェア化は、従来のSDNやNFVを超える広い範囲のソフトウェア化を提唱する意味が込められており、ネットワーク仮想化でよく言われているスライス(ネットワーク・計算能力・ストレージなどのリソースを面で割当てた単位)を
(1)水平方向に拡張しNFVでいわれるMECをさらにUEやクラウドまで拡張しソフトウェア化するスライスの水平拡張、
(2)垂直方向にもSDNで言われる制御プレーンだけではなくデータプレーンのプログラム性も含む垂直拡張、そして、
(3)同時に全ての技術要素をソフトウェアだけで構成するのではなくアプリケーションに応じてソフトウェア・ハードウェアの構成を柔軟に選択する制御などの概念が含まれている。

世界的に5Gに関する研究の機運が高まり、国内外で多くの5G研究団体が発足し、精力的に研究が進められている。

国内では、ARIB 2020 and Beyond Ad Hocでの無線関係の検討を経て、現在、第5世代モバイル推進フォーラムにて精力的に検討が進められている。

出所:第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)2014 年9 月30 日設立




5Gの地政学

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2018年に勃発した米中貿易戦争は、「米中覇権争い」の一環であるが、まさに世界経済全体にとってのリスクであり、多くの識者や研究機関が「米中覇権争い」を2019年における最大の地政学的リスクだと指摘している。

そして、この米中覇権争いは、「米中のハイテク覇権争い」の様相が濃くなってきている。

現在焦点になっているのは「中国製造2025」であり、中国が2049年の中華人民共和国建国100周年までに「世界の製造大国」としての地位を築くことを目標に掲げている。


本稿で焦点を当てる5Gは、中国が「中国製造2025」で重視している10の技術分野の中でトップに記述されている最重要な技術だ。


最近、5Gに関連して、「5Gの地政学(The Geopolitics of 5G)」という表現を使う論考が増えてきた。
例えば、国際政治学者イアン・ブレマーが社長を務めるコンサルティング会社「ユーラシア・グループ」が、昨年11月15日、“The Geopolitics of 5G”という報告書を公表した。


ユーラシア・グループの「5Gの地政学」
「ユーラシア・グループ」は、毎年世界の10大リスクを発表しているが、2019年の10大リスクの中で、「米中の覇権争い」がリスクの2番目に挙げられている。

米中の対立は、5Gを巡る主導権争いから安全保障全般まで多岐にわたり、「5Gなどの技術革新が停滞する」冬の時代になるという危機感が表明されている。

以下、「ユーラシア・グループ」が発表した報告書「5Gの地政学」の結論部分のみを紹介する。

中国が5Gの先行者利得を獲得する

中国が2020年、他国に先駆けて商業ベースの国内5Gスタンドアローン・ネットワーク(4G以前の技術とインフラではなく、5Gの技術とインフラのみを使ったネットワーク)を構築するため、先行者利得を獲得する可能性が高い。


中国の他国に先駆けた5Gネットワークの実現は、政府一丸となった努力( 例えば、「インターネット+計画(2015)」と「第13次5カ年計画」)の賜物だ。

中国製5Gは米国等の国家安全保障上のリスク

米中貿易紛争や技術紛争が収まる兆候が見えないなか、中国製5G機器がもたらす国家安全保障上のリスクが中心テーマになっている。

ある国が中国製の5G機器を使わないと決心すると、その国における5Gの導入は遅れることになる。
なぜなら、中国企業にとって代わる企業(バックアップ・サプライヤー)は、品質の高い大規模な次世代ネットワークを開発・導入するために、新たな製造能力と人材を必要とするからだ。

●5Gを巡る二つのエコシステム(経済的な依存関係や協調関係)が世界を分断する

5Gのエコシステムは2つになる。一つは米国主導のエコシステムで、シリコンバレーの技術でサポートされる。もう一つは中国が主導するエコシステムで、ファーウェイなどの非常に能力の高い中国企業によりサポートされる。

中国と中国以外の2つの陣営に分断されることは、相互運用性に問題が生じるとともに、スケール・メリットが低下し、コストが増大する可能性がある。

米国と中国は、5Gネットワークを巡る政治闘争を行うのみならず、5Gネットワークの上で実行される革新的なアプリケーションの開発でも競争している。

米国はイノベーション能力の点で有利だが、中国は国内に5Gエコシステムを構築し、海外市場シェアを獲得するための競争を行っていて、先行者利益を得るだろう。

5Gの導入が成功すれば、最終的には商業規模の次世代技術の展開が可能になる。

これは勝者総取りのゲームではないが、5Gとその関連アプリケーションが才能ある人材と資本を引き付ける一方で、5Gネットワーク上で実行されるアプリケーションによって生み出される膨大なデータが更なる革新をもたらす好循環が実現するであろう。

この好循環を利用したい第三国は、「どちらの5Gネットワーク技術と関連アプリケーションを採用するか」という難しい選択に直面する。

各国政府は、米国と同盟諸国から5Gに対する中国への依存を避けるように圧力を受ける可能性が高い。

同時に、コストに敏感な途上国は、中国の技術とその他の魅力―例えば、一帯一路構想を通じて利用可能なインフラやプロジェクトに対する資金提供を受けること―を諦めることは難しいだろう。

特に中国が、最先端の技術アプリケーションを安価に提供できるので、これを排除することは難しいであろう。

デジタル・シルクロード(DSR: Digital Silk Road)[2]

一帯一路構想は、習近平主席が2013年に発表した壮大な経済圏構想であり、中国から欧州に至る海の「21世紀海上シルクロード」と陸の「シルクロード経済ベルト」からなる。

この一帯一路構想の評判は良くない。

発展途上国のインフラ(道路、空港、港など)の整備を行うのはいいが、その結果として発展途上国には支払い困難な膨大な借金が残り、その負債を払えなくなると、中国がその空港や港を管理下においている。

そのため、中国には「債務帝国主義」という悪いレッテルが張られている。

一方で、中国が重視するデジタル・シルクロードは、将来的に有望なダイナミックな構想である。

このデジタル・シルクロードの狙いは、一帯一路加盟国(特に発展途上国)に中国の企業が建設する通信ネットワーク(光ファイバーやWIFI網など、将来的には5Gネットワーク)を整備し、結果として中国が統制可能なサイバー空間をそれらの国々に構築することだ。

デジタル・シルクロードでは、一帯一路の沿線国に中国企業(ファーウェイやZTEなど)主導の通信ネットワーク構築によりブロードバンド接続を実現し、電子商取引をはじめとするデジタル化経済を推進する。
また、AI、ロボット、スマート・シティーの建設分野での協力も推進している。

その結果、中国は、これらの国々からビッグデータを獲得するとともに、これらの国々に対するデジタル支配を確立することが可能となる。

デジタル・シルクロードは、中国による「ディジタル覇権」を可能にする非常に優れた構想ではあるが、発展途上国にとっても中国と覇権を争う米国にとっても非常に危険な構想だ。

このデジタルシルクロード構想は、「5Gの地政学」に基づく中国独自の雄大な構想である。

米国とその同盟国には、中国のデジタル・シルクロードのような、世界的に技術的影響力を拡大するための構想がなく、米国の危機感がここにある。

中国の5Gと「軍民融合」 

習近平国家主席は、「軍民融合」を国家戦略として推進している。

習近平主席の軍民融合は、米国の軍産複合体をお手本として、人民解放軍と企業の人材や技術の密接な交流により、軍民のデュアルユース技術(軍と民がともに使用できる技術)の発展を促進し、経済建設と国防建設の促進を目指している。

中国にとって、5G分野での米国などとの競争は、常に軍民融合と密接な連携の下で行われている。

主要な中国企業(ZTE、チャイナユニコム、中国航天科工集団公司(CASIC))は2018年11月、「5G技術軍民融合応用産業連盟」を設立した。

この連盟は、軍民の統合的発展を促進し、5Gの軍と民への応用を強化するもので、軍と民のシナジー効果を発揮するであろう。

例えば、「CASIC第一研究アカデミー」は、5Gの航空宇宙における活用に焦点を当てて活発に活動している。

また、国営の軍事企業である中国電子科技集団(CETC)は、5Gに必要な特殊なアンテナ、マイクロ波装置などの通信装置を開発している。

●5Gは「軍事智能化」を可能にする

5Gは、戦場における通信を改善し、より速く・より安定した情報の伝達を可能にし、情報の時系列管理と統合を強化する。

5Gは、戦場におけるIOT(モノのインターネット)や人工知能を実現するために必要な「伝送スピードと帯域幅」を提供することができる。

その意味で、5Gと軍事分野におけるAI技術の連携により、人民解放軍が目指している「軍事智能化」が実現可能だ。

中国の5G開発は、国防の情報化と軍事智能化に深い関係がある。

5Gは、民のスマート・シティーにおける機器の間でやり取りされる膨大な通信量の処理を可能にするが、5Gはまた、軍事における各種センサーや各種装置で構成されるネットワーク間の膨大な通信量を処理し、軍における「情報化から智能化への戦い方の転換」を可能にする。

そして、データ分析を促進することにより、状況認識の改善を可能にし、リアルタイムの調整や指揮・統制を可能にする。

そのため、膨大で統合された5Gインフラは、民のスマート・シティーと人民解放軍に将来的な可能性を提供することになる。

5Gはまた、より安全なネットワークを提供することになる。

何故なら、5Gによる広帯域化により、より複雑な暗号の使用が可能となり、複雑な電磁環境における秘密保全の強化がなされるからだ。

●5G
は国家の国防動員に寄与する 

中国が享受する5G時代の到来により、有事におけるより大規模な国家動員が可能となり、軍に対する国家全体の支援能力が増大することになる。

将来の紛争シナリオにおいて、地方自治体レベルまでカバーする国家システムの構築により、膨大な物資が迅速に動員され、人民解放軍の戦争遂行が支援される。

民の経済及びインフラから軍隊が支援を受け取るという形態の軍民融合は、米国をはじめとする中国の敵対国に対する中国の優位性を示している。

中国政府による中央集権が、地方の発展を国家動員に連結させている。

報道されるところでは、2012年以来、スマート・シティーの建設が国防動員と連結されている。

まさにスマート動員は、5GやAIの導入による相互融通性、リアルタイムの情報交換などを可能とする知能化ネットワークによって可能となる。

地方レベルでの5G軍民融合[3]

中国における軍民融合の進展により、5Gの発展を国防情報化融合する試みが各地で進行中だ。

例えば、重慶市は5Gネットワークの開発と適用のデモンストレーションを、チャイナ・テレコム、チャイナ・モバイル、中国航天科技集団(CASC)の参加を得て行っている。

同じように、四川省では、5Gにおける軍民融合のパートナーシップの促進を行っている。

民間企業の一部は、5G関連の軍民技術とその応用におけるビジネスチャンスを認識している。

例えば、5Gを活用した高周波フェーズド・アレイ・レーダー(位相配列レーダー)で使われるチップを市場に提供しようとしている。

つまり、中国では5G軍民融合を国を挙げて行っている。

5Gの軍事利用に関しては、中国だけではなく米国等でも計画されている。

5Gは既に記述した軍事利用の分野のみならず、兵站(補給や整備など)やサプライ・チェインの可視化を可能にする。

5Gにより次世代のC4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察)は飛躍的に発展するであろう。

5G及びその関連技術とAIの相乗効果は、将来の軍事戦略・作戦・戦術を大きく変えるであろう。

5Gは、その重要性故に米中の覇権争いの象徴的存在になっている。

米国は、5Gのトップ企業であるファーウェイやZTEを米国市場から締め出し、同盟国や友好国にも同様の行動をとるように促している。

結果として、5Gが2つのエコシステムが存在する分断された世界を作ることになる。

米国の中国製5G排除の試みは今後とも長く継続するであろう状況において、我が国が5Gに関していかなる選択を行うかである。

米国政府は、ファーウェイ製の通信機器の使用中止を我が国にも要請していると報道されている。

我が国は、米国政府の要請を受け入れて、中国製の5Gネットワークを拒否し、米国の陣営に入るべきだと私は思う。

また、我が国の通信機器メーカーは、4Gまではそれなりの存在感を示してきたが、5Gになると中国企業の技術と安さに対抗するのが難しい状況になっている。

しかし、米国とその同盟諸国がファーウェイ等の中国企業を排除する状況に鑑み、5Gの分野における政府及び日本企業の特段の努力により、我が国の5Gネットワークは日本の技術と機器で構築してもらいたいと思う。

そして、中国のデジタル・シルクロードに対抗して、世界市場においても影響力を及ぼす企業になってもらいたいものだ。

我が国にとっての「5G地政学」の教訓は、5Gは我が国の安全保障の骨幹に関わる重要な技術であり、AIと共に将来の日本の安全保障に直結する技術だということだ。

今後とも最先端の技術に焦点を当てた技術安全保障が重要になるであろう。

以上の理由により、重要な技術分野に関しては、政府や一部官庁・民間企業のみの取り組みではなく、日本国家挙げての取り組みが切に求められている。

出所:日本戦略研究フォーラム 政策提言委員・元陸自東部方面総監 渡部悦和





 


 


4G・LTEをはるかに凌ぐ5G


AI、IoT、ブロックチェーンなど、次の世代を担う技術が次々と登場する中、通信インフラにも次世代の波が到来する。「高速・大容量」、「低遅延」、「多数端末の同時接続」を特徴とする第5世代移動通信システム、通称5Gは、現在主流の4G・LTEをはるかに凌ぐ可能性を秘めている。

3Gから4Gへの移行時は通信スピードの向上が最たる利点だったが、5Gではデータの高速ダウンロード、遅延の少ないリアルタイム通信、100万台以上のデバイスの同時接続など、これまでとは比較にならないほどの進化を遂げる。

IoT、VRの鍵は5G!? 次世代移動通信はこれまでの通信技術と何が違うのか

日本の通信インフラを抜本的に変えると言われる第5世代移動通信システム(5G)。

現行のLTEシステムと比較して100倍の伝送速度、1,000倍の大容量化を誇る最先端の通信技術だ。
これにより、VRやIoTの利便性が格段に高まるのではないかと期待されているが、なぜ5Gがこれまでにない性能を持つのかあまり知られていない。

5G
と従来の通信インフラの大きな違い

5Gの特徴として、「高速・大容量通信」「低遅延通信」「多数端末の同時接続通信」が挙げられる。携帯電話の電波を使用する通信システムで、現在主流なのは4G(4th Generation)とLTE(Long Term Evolution)だが、通信速度の安定性と帯域では、まだWi-Fiを必要とする場面も多い。

5Gの誕生は通信インフラに対する既存の概念を180度覆す可能性を秘めている。

具体的にはどれほど高速になるのだろうか。

5Gは通信速度がLTEと比較して約100倍、4Gと比較して10〜1000倍速くなると期待されている。

4Gより10倍速いと仮定した場合、4Gでは6分要した8Kの動画のストリームやダウンロードが、たった30秒で完了するということだ。

華為技術(ファーウェイ)は、3Gでは1時間、4Gでは7分を要した8GBのHD映画のダウンロードが、5Gではわずか6秒で完了すると見積もっている。

ネットワークの遅延についても画期的な変化が見込まれる。従来の回線でIP電話サービスなどを利用する場合、送信されたデータを受信するまでに時間がかかる――つまりネットワークに遅延があると、相手との会話にズレが生じるなどの不具合が出る。

5Gネットワークは、デバイスと通信するサーバ間の遅延時間を実質的にゼロにすることも可能だという。

5Gでは1?あたり100万台以上のデバイスと同時に接続することが出来るため、4Gでたびたび経験したネット回線の混雑による速度低下といった不具合も解消される。

5G
が通信の大容量・高速化を実現できる仕組みとは

ユーザーがストレスを感じることなくインターネットを楽しめる環境が実現しそうだが、どうしてこのようなことが可能なのだろうか。

5Gでは4Gでの利用が想定されていた周波数帯を含め、周波数帯の帯域幅の拡大について検討が進められている。

無線通信においては帯域幅が広くなるほど高速大容量の通信が可能になるため、総務省が開催中の「電波政策 2020 懇談会」などでどの周波数帯を活用するか、検討されている。

また無線通信基地局を至るところに設置する、ユーザーのデバイスに個別に電波を飛ばすといった技術も検討されている。

低遅延化、省電力化も実現する5Gの要素技術


5Gの普及には、省エネや低コスト化への狙いもある。NGMN Allianceは2015年に発表した「5G White Paper」の中で、今後10年でトラフィックが1,000倍に拡大したとしても、「ネットワークの全消費電力を現状の2分の1にする必要がある」とし、電力効率を2,000倍に高めることを提案した。

5Gでは負荷がかかっている際、エネルギー効率の良い無線インタフェースが必要となるが、使用しない時は低エネルギーモードに素早く切り替わるといった、省エネ効果が期待されている。

低遅延化が重視されている理由の一つとして、各産業で活発化する遠隔操作や自動操作が挙げられる。

こうした新技術では、0.1秒の遅延でも致命的なミスにつながりかねない。

例えば開発が進む自動運転車の場合、何らかの原因でシステムに遅延が生じれば、大事故を引き起こす恐れがある。
100%の精密性が要求されるという点でも、5Gの低遅延化は重要なカギを握っている。

低遅延化には、ユーザーにより近い場所でコンピューティング処理を実行する「エッジコンピューティング」が活用される。

5G
で実現する未来

5Gはスマホだけではなく、IoTやVR、スマートシティ、ロボットなどの普及とともに、人々の生活をより便利で快適なものへと向上させるコアテクノロジーとなるだろう。

新しい外科手術、より安全な輸送、即時通信などが現実のものとなる。

それと同時にエッジコンピューティングの普及も急速に進み、世の中にあふれているあらゆる「モノ」が無線でつながりレスポンスし合う、まったく新しい世界が生まれるかもしれない。

現時点では想像もつかない、革命的な商品やサービスが登場する可能性も期待されている。

5Gは人間とテクノロジーを最適な形で融合させる、未来へのブリッジとなりそうだ。

2019年は“5G元年”

2019年4月3日、アメリカの通信事業会社ベライゾンが世界初のスマホ向け5G通信の提供を開始した。

韓国では同国最大手の通信社KTが4月5日にサービスを開始した。

日本では2019年に5G通信のプレサービスを開始、東京オリンピックまでに本格利用を開始する予定。

世界各国で5G通信のサービスが開始する2019年は、まさに“5G元年”なのだ。

5G
で何が変わる?

総務省の「平成30年版 情報通信白書」によると、5Gの通信速度は4G・LTEと比較して約100倍にもおよび、遠距離通信における遅延は1ミリ秒以下となる。

携帯端末に限らず、あらゆるモノ同士を高速かつ大容量で接続できるようになる。

では、5Gの登場によって具体的に何が変わるのだろうか。

よく耳にする5Gの恩恵は、テレビ電話も遅延なくリアルタイムで会議ができるようになるといったものだ。

遅延なく膨大なデータを送受信できるようになることで、離れた場所にいても、例えば外科手術や重機の操縦といった精密な操作を遠隔で行えるようになる。

AIの進歩によって自動運転車の実用化が現実味を帯びたように、5Gの登場によってこれまで近未来の世界の出来事のように思われていた様々なシステムが現実のものになるかもしれない。

自動運転×5Gで何が変わる?
センターからの管理が可能に


さらに、5Gにはどのような活用方法が考えられるのだろうか。今、5Gとの組み合わせで最も注目を集めている技術の一つが自動運転だ。

自動運転車はAIによって自律走行をさせることが前提だが、バスやトラックなどのように、特定の目的を持つ商用車として運用する場合、中央からの管理統制が必要になる。

5Gを利用すれば、リアルタイムで大量のデータを送受信できるため、全国各地に配備された自動運転車の動きをセンターから一括管理することができる。

離れた場所からも遅延なく操作ができるため、緊急時にはセンターから自動運転車を操作して制御することも可能になる。

また、膨大な数の車両から顧客データを収集したり、逆にセンターから車両へリアルタイムで広告データを配信したりすることもできるだろう。車両の管理のみならず、生産性を高めるためにも5Gは有効活用できるのだ。


通信キャリア3社が実証実験を開始


NTTドコモとソニーは2019年3月、共同で5G遠隔走行車の実証実験を開始した。

ソフトバンクは同年2月、ダイナミックマップ基盤と共同で、高精度3次元地図「ダイナミックマップ」(自動走行や安全支援システムの実現に向けて、中核を担う重要な要素として、静的情報、準静的情報、準動的情報、動的情報を組み込んだデジタル地図)を生成する実証実験を開始している。

高精度3次元地図には車線の位置や道路が交差するポイント、停止線や横断歩道など、道路周辺のあらゆる情報が含まれる。

これをAIが認識可能なデータとして取り込むことで、自動運転車が道路状況を先読みし、安定した自動走行を実現できる。

これまでは、この3次元地図の生成に4Gを利用していたが、今後は5Gを活用することで、より大量のデータに基づいた高精度な3次元地図情報を生成することができ、同時に超低遅延の特徴によってリアルタイム性の向上にも貢献する。

例えば、車両の近くを自転車が通っているという情報は、自動運転車にとっては事故を回避するための重要な情報だ。

こうした情報はリアルタイムに近ければ近いほど、自動運転の安全・安定性を向上させる。

一方でKDDIは、KDDI総合研究所、アイサンテクノロジー、損保ジャパン日本興亜、ティアフォー、岡谷鋼機、名古屋大学と共同で、2019年2月から5Gを利用した自動運転の実証実験を開始している。
KDDI が開発した遠隔自動運転車を走行させ、ティアフォーは自動運転ソフトウェアを提供する。

注目すべき点は、損保ジャパンがこの実験でリスクアセスメントを行い、その結果を保険商品の開発に活用するということだ。5Gが生み出す劇的な変化は、今後もあらゆる業界の関係者を巻き込んでいくだろう。

運転補助システムに5Gを


実は自動運転の一歩手前で、すぐに実現できそうな5Gの活用方法も考案されている。

総務省が開催した「5G利活用コンテスト」では、優秀賞に「濃霧の高速道路でも安全に走行できる運転補助システムの確立」が選ばれた。他の入賞者には研究者や研究所、企業の名前が並ぶが、この運転補助システムを考案したのは大分県だ。

また、同コンテストでは、福井県の永平寺町総合政策課が「同時多接続と低遅延が可能とする近未来の雪害対策」で地域課題解決賞を受賞しており、事故の発生件数や地域の課題を誰よりも把握している行政の側から、5Gを防災・事故防止に役立てようという提案が行われた。

大分県が提案した「濃霧の高速道路でも安全に走行できる運転補助システムの確立」では、5Gの特徴を活かし、ドライバーの運転をサポートする情報をリアルタイムで提供する。晴天時と同レベルの安全性を確保することで、濃霧による高速道路の通行止めを避けることができる。気象条件に左右されない円滑な交通を実現することで、地方都市にもたらされる経済効果は少なくない。

この運転補助システムへの具体的な5Gの活用方法はこうだ。まず、気象や高精度3次元地図の情報をクラウド上に収集する。そして、その情報に車の位置、速度、車外の映像といったデータを合わせ、車両に情報を配信する。

車両にはヘッドアップディスプレイを取り付け、フロントガラスにクラウドから受信した映像を投影する。映し出されるのは、車の前方の様子や車間距離といった情報が補完された車外の映像だ。

つまり、車のフロントガラスが巨大なVRゴーグルのようになり、見通しが悪い濃霧の中でもリアルタイムで車外の状況を確認できるのだ。

外部から受信した情報を頼りに濃霧の中を走行しようというのだから、映し出される情報がリアルタイムのものであることは絶対条件だ。

自動運転車の実用化には、法整備などクリアしなければならない課題がまだまだ多いが、5Gの特性を活かしてこれまでは踏み込めなかった一歩先の世界に飛び込むことができる。大分県は直面している課題を解決するために、現状の一歩先を行く5Gの活用法を提示した。

5G
の懸念と課題とは…? 管理・監督・防犯との相性

既に触れた通り、5GはVR・ARとも相性が良いため、海外からの仮想体験(ツアー)、セミナーやイベントへの参加などにおいても利用が進むだろう。

一方で、上記の利活用例からも垣間見えるように、5Gはリアルタイムで大容量通信ができるという利点から、管理・監督・防犯・防災との相性が良い。
農業などの第一次産業や、工場、建築現場等においても防犯対策は欠かせない。このように既存の産業においても、5Gを活用した革新的なプロダクトによってビジネスの構造が大きく変化する可能性がある。

警備会社のALSOKがNECと共同で開発を進めているのは、5Gを利用し、鮮明な4K映像を監視センターに送信するシステムだ。

現行の4Gでは、約800万画素という4Kの高画質な映像データをリアルタイムで送信することは不可能だった。

だが、大容量のデータを高速で送受信することができる5Gであれば、複数台の防犯カメラから4Kの映像データをリアルタイムで監視センターに送信することができる。

従来は、防犯カメラが事件の映像を捉えていても、画像が粗いため犯人の顔が鮮明に映っていない、あるいは犯行に使用された車のナンバーが読み取れない、といった「惜しい」場面が往々にしてあった。防犯カメラといえば画質が悪いという印象があるが、それは映像データをリアルタイムで監視センターに送信する場合、現行の通信システムではデータの容量に制限があり低画質にならざるを得なかったからだ。

だが、5Gの実用化によって4Kの鮮明な映像を活用することができるようになれば、現場の状況を的確に把握し、犯人の顔を瞬時にデータベースから照合することも可能になる。現場での対応が劇的に改善されることはもちろん、犯罪の抑止にもつながるだろう。

5Gの登場で、本格的に4Kが“目”になる時代が来る。業務用の防犯カメラのみならず、家庭用の防犯カメラからの4K映像も外出先からアプリでチェックできるようになるだろう。そうなると、4Kを見るためのデバイスの需要も生まれる。

リアルタイムの4K映像をテレビモニターやモバイルデバイスに映し出せることは大前提だが、ウェアラブルデバイスや壁などへの投影型デバイスも、4K対応が当たり前という時代が来るだろう。

プライバシーへの懸念と5Gの課題を解決するアイデア


一方で、5Gを利用した技術開発において念頭に置かなければならないのは、プライバシーに関する懸念だ。

管理・監督に使えるという点も、一歩間違えれば「監視」を強化することに繋がりかねない。防犯や管理にテクノロジーを利用した安心・安全な社会と、あらゆる情報が瞬時に収集される監視社会に境界線を引く作業は簡単ではない。

5Gを巡っては、革新的でありながらも、社会に受け入れられる製品の開発を行うバランス感覚が重要になる。利便性とプライバシーはいつの時代でも相反するテーマだが、とりわけ5Gの時代には包括的にプライバシーを保護するツールやシステムにも需要が生まれるだろう。

カタールのドーハに本部を置くICTプロバイダーのオレドー・グループは、5G、IoT、クラウドテクノロジーにブロックチェーンを組み合わせることを発表している。オレドーは中東・北アフリカおよび東南アジアで5Gネットワークを展開する予定だ。

詳細な利用法については明らかにされていないが、理論上改ざんが不可能なブロックチェーン技術を利用することで、透明性と信頼性を確保することができる。

例えば、5GとIoTで収集されたデータの閲覧記録がブロックチェーン上に記録されるとすれば、データの不正利用を未然に防ぐことができるだろう。

同様に需要が見込まれるのは、各デバイスのバッテリーだ。Wi-Fiを使わずに大容量のデータを超高速でやり取りするとなれば、スマホ決済に備えて街中に充電器のポートを設置する、というレベルの対策では追いつかない事態になるかもしれない。

バッテリーそのものに、大容量の高速データ通信に耐えられるような進化が求められる。加えて、5Gの登場で様々なIoT製品の開発が進んでいくと、その数だけバッテリーが必要になる。進化したバッテリー自体が社会インフラの一つとして利用される日が訪れる可能性さえある。


目には見えないが、確実に私たちの生活を支えている通信システムが大きな転換期を迎えている。今、私たちが日常的に4Gを利用して暮らしているように、5Gが当たり前という社会がそう遠くない未来にやってくる。5

Gが世界中のあらゆるモノをリアルタイムでつなぐ世界が実現するとすれば、同時にそれを支える革新的なアイデアも必要だ。

出所:「MUFG Innovation Hub」






6G
通信とは何か

6Gとは、5Gに続く新たな次世代通信規格のことである。
5Gの登場によってダウンロード速度はより一層高速化し、待ち時間は減少することが予想される。
しかし、イギリスの携帯電話会社Vodafone UK(ボーダフォン)のCTO(最高技術責任者:Chief Technology Officer)であるScott Petty(スコット・ペティ)氏は、「5Gは数年後にはネットワークに接続されている『モノ』の数を処理できなくなる」と述べている。

なぜなら今後登場するさまざまな分野のIoT製品によって、IoTがより一層複雑になったり、データ需要が大幅に増加したりとネットワークへの負担が増大する可能性があるからだ。
そのため、早急に6G実現に向けて動き始める必要があり、世界中の研究機関やネットワークベンダー(IT関連製品の販売業者)が6Gを実現させるための技術開発に挑んでいる。

ITU(国際電気通信連合)においても、2030年の6Gネットワーク実現に向けた技術研究グループ(FG NET-2030:Focus Group on Technologies for Network 2030)の構築が始まっている。各国の対応状況は下記の通りだ。

・米国
トランプ大統領が6Gインターネット技術の早期実現への期待をツイッターで述べている。

・フィンランド
6Gの開発プロジェクト「6Genesis」を立ち上げ、6Gの時代に対応しようとしている

・中国
工業情報化部IMT-2020(5G)無線技術開発グループのリーダーが、6Gの開発が2020年に正式に始まり、2030年に商用化される見通しとコメント

・韓国
LG電子が6G研究センターの設立を発表

6Gの技術により、伝送容量(伝送可能な情報量の上限)は、最低毎秒10ギガビット(5Gの場合)から毎秒100ギガビットへ増加する。通信遅延は、1ミリ秒から1ミリ秒未満に、接続密度は100万台/平方キロメートルから1,000万台/平方キロメートルとなる。

6G
通信で何ができるようになるか

6Gでは、現状と比べて通信容量が拡大し通信も高速化。通信に必要なモジュール(構成要素)があらゆるものに溶け込むため、人々がバックグラウンドでの通信を意識することなく情報処理が行われるようになると考えられる。

また、これまで一般的に利用できなかったサービスの実現も期待できるだろう。例えば、米マイクロソフトが開発中のテレポーテーションをしたかのような体験ができる”Holoportaion”(遠隔地にいる人を、3D映像として別の場所へ移動させる技術)がより現実味を帯びてくる。

この技術は、必要とする通信量が多く4Gでは実現不可能であるため、5Gの活用が期待される。更にきめの細かい3D映像を利用したコミュニケーション、つまり遠くにいる人があたかも目の前にいるような状況を今以上の3D映像で実現するには、より高速かつ低遅延の通信が必要だ。

6G通信が実現すると、16Kの3D映像も高速で通信できるため、直接対面して話す場合の解像度に近づいてくる。

6Gは、このようなコミュニケーションツールだけではなく、リアルタイムオンラインゲームにも活用されるだろう。高解像度の3D映像をリアルタイムで送信することで、SF映画のようにネット上のもう一つの仮想世界を体験できるのだ。

今後16Kに代表される高解像度の映像が、触覚情報とともに高速低遅延で通信することが可能になると、例えば、医療分野では、遠隔治療・診察等への活用など、6G活用の可能性が広がり、さまざまな用途が生まれてくるのではないだろうか。

6G
の実現に向けた課題

まずは、5G以上の大容量かつ超低遅延通信、高接続密度が求められる。直近ではNTTが世界で初めて、無線による毎秒100ギガビットデータ伝送実験を成功させた。(100ギガビット=現在のLTEやWi-Fiの約400倍、5Gの約40倍に相当する伝送容量)この実験は、OAM(Orbital Angular Momentum:起動角運動量。量子力学において電波の性質を表す物理量の一つ)多重伝送技術を用いたものである。

さらに、信号処理を改良することで、毎秒120ギガビットのデータ伝送にも成功している。今回の伝送実験は、室内で行われたため、次の段階では、屋外での伝送実験による実現性の検証が求められるだろう。その後は、多種多様なアプリケーションを実行するために、衛星通信網など他ネットワークとの協調、相互互換性の確保が必要になる。

例えば、スマートダストと呼ばれるような大量のワイヤレスIoTや、将来、宇宙空間での衛星通信に6Gを活用する場合などに、関係者間での標準化が必要だ。

また、別の観点としては、6Gにおける電磁波の人体への影響が懸念されている。2019年から展開される5Gの周波数帯域の電波に関しては、人体への影響について充分に検証されており、現行のばく露限界値(連日繰り返しばく露されても健康に影響を受けないと考えられている濃度又は量)以下では人体への影響は認められていない。

しかし、6Gにはより高い周波数帯域が使われることになり、その影響が未だ充分に検証されていないことは懸念材料だ。
このため、ドイツ連邦放射線防護局(BfS)は、新たな周波数帯域の影響について、今後研究を進めていく予定である。

6Gは、2030年以降の商用利用が予定されているが、今からその高速・低遅延・高接続密度が期待されている。

6Gの社会では、人々がバックグラウンドでの通信を意識することのない、まるで通信技術が社会に溶け込んでいるかのような世界が待っているだろう。
5Gが活用されつつある現代において、現状の課題を把握しながら、6Gの実現に向けても期待していきたい。


出所:「MUFG Innovation Hub」
、「MUFG Innovation Hub」は、先端テクノロジーの情報発信、またMUFGのフィンテック導入等に関する情報発信を行うことを目的とした、新しい形のイノベーションメディアです。

 



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