新型 コロナウイルス
S型・K型・G型


京大研究者が明言「再自粛不要論」 欧米より圧倒的に低い日本の死亡率…この差は「集団免疫」で説明できる

京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と順天堂大の奥村康(こう)特任教授(免疫学)は7月27日、記者会見を開き、このところ感染者数が増加しているが、「3週間経過しても死者数は横ばいだ」とし、感染者の増加はPCR検査数の増大と相関しているとの見解を示した。  

米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、27日現在の日本国内の死者は998人(人口100万人あたり7・9人)。

米国の14万6935人(同448・3人)、英国の4万5837人(同689・9人)と比べると、死者数、死亡率ともに大幅に低い。

この差を「集団免疫」で説明できるというのが、上久保氏と吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループだ。

研究によると、新型コロナウイルスは「S型」「K型」「G型」の3タイプに大別される。

感染しても無症状から軽症が多い「S型」は昨年10〜12月ごろに世界に拡散し、同じく無症状から軽症が多い「K型」は今年1月ごろをピークに日本に侵入した。

やや遅れて「G型」が中国・武漢で拡散、さらに上海で変異したG型が欧米にも広がったとしている。  

これらは鳥インフルエンザ対策のために設立された国際イニシアチブ「GISAID」や、現在の日本のパンデミック(世界的大流行)の状況により立証されているという。

 武漢が1月23日にロックダウン(都市封鎖)されたことを受け、欧米各国は2月上旬に中国全土からの入国制限を行った。

しかし、「すでに広がっていたS型はG型の致死率を上げる特徴がある」(上久保氏)ことから多数の死者が出た。  
これに対し、日本が入国制限を中国全土に強化したのは3月9日と遅れた。

その間に日本国内で広がっていたK型のウイルスは、「G型に対する獲得免疫を有する」(同)ことから、結果的に集団免疫が確立したという説だ。  

仮説を立てるうえで、上久保氏らが着目したのが、新型コロナウイルスに感染すると、インフルエンザに感染しなくなる「ウイルス干渉」という現象だった。

「体内に入ったウイルスにより活性化されたサイトカイン(免疫系細胞から分泌されるタンパク質)の反応が出るために、同時に他のウイルスの感染も妨げられる」と説明する。

 昨年10月から今年1月のインフルエンザの流行の波が前年の同じ時期より小さくなっていたといい、ここでS型やK型のウイルスが広がっていたと上久保氏はみる。  

その後、仮説と一見矛盾するような調査結果も出てきた。

集団免疫が確立しているということは80〜90%の人が抗体を持っているはずだが、厚生労働省が実施した抗体保有調査では、東京の抗体保有率は0・10%、大阪が0・17%、宮城が0・03%と極めて低かった。  

これについて上久保氏は、抗体検査の問題点を指摘する。

検査キットには、カットオフ値(陽性・陰性の境を決める基準)が人為的に設定されるが、「新型コロナウイルスのように無症状が多い場合、カットオフ値は明らかに有症状の人の高い抗体値に合わせているため、基準が高く設定されすぎて抗体を持っていても陰性と出る可能性が高い」と話す。

海外でも抗体の研究が進んでいるが、英ロンドン大キングス・カレッジの追跡調査では、ウイルス感染後、抗体ができて回復した場合でも、抗体による免疫は数カ月以内に減退する可能性があると指摘された。  

抗体が短期間で失われてしまうのなら、集団免疫ができないのではないか。

上久保氏は「既感染の状態では抗体が減衰することが多く、抗体があっても抗体検査で出てこない可能性が高い」と述べる。

京大研究者・上久保氏「非科学を横行させるな」
 
「再感染」と免疫の関係について上久保氏は東京・新宿のホストクラブなどのPCR集団検査で陽性が相次いだ事例を引き合いに、こう説明する。

「既感染者(免疫を獲得済み)ののどや、体内に再びウイルスが入ったところで、たまたま集団検査などでPCR検査が行われたと考えられる。

抗体が減衰していても免疫が記憶されており、再度ウイルスが入ると、速やかにウイルスに対してその免疫が反応し、ウイルスを排除する。

また、免疫細胞が廃れかけた場合は再度ウイルスが曝露(=ウイルスにさらされること)することで、むしろ免疫にエンジンがかかるブースター効果というものがある」  これが事実なら、PCR検査を増やせば増やすだけ、感染者数が増えても、日本では欧米のように死者が急増する可能性は低いということになる。  

「今年に入って半日ぐらい熱っぽいと感じたことがある人は、そのときに新型コロナウイルスに曝露していてもおかしくない。

何日も曝露していれば、それだけの日数で微熱や、のどの痛みなどを感じる」という上久保氏。

7月に入り、東京都内では連日3ケタの新規感染者が確認され、都は警戒レベルを4段階で最高の「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。

再度、緊急事態宣言を出すべきだとの声もあるが、上久保氏はこれに反対の立場だ。  

「免疫が形成されるまでに複数回の接種を要するワクチンがあるように、新型コロナウイルスに対する免疫を維持するには、ウイルスと生活していかなければならない。

もともとコロナウイルスとはともに暮らしてきた。

今から急に始まるわけではない。

再度自粛すれば、かえってその機会が失われかねない。

『3密』や換気など非科学的な話ばかりだ。

すべてを真摯(しんし)に検証すべきだ。

私は自分が間違っていたら、間違いは素直に認める。

しかし、非科学は絶対に横行させてはならない」

出所:2020/7/29(水) 16:56配信夕刊フジ





インフルエンザの流行状況(東京都 2019-2020年シーズン)

インフルエンザ は流行時期に合わせ、毎年、第36週(8月末〜9月初旬)から翌年の第35週までの1年間をインフルエンザシーズンとして情報提供を行っています。2019-2020年シーズンは 2019年9月2日から 2020年8月30日までです。

定点医療機関当たり患者報告数  2020年8月2日(第31週)まで

定点医療機関当たり患者報告数  2021年1月3日(第53週)まで

定点医療機関当たり患者報告数  2021年3月28日(第12週)まで


出所: 東京都感染症情報センター(http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/flu/flu/






「日本の奇跡」を裏付ける“国民集団免疫説”・・・京大教授ら発表・・・死者数がここまで少ないのはなぜ

世界がモヤモヤする「日本の奇蹟」を裏付ける"国民集団免疫説"…京大教授ら発表
死者数がここまで少ないのはなぜ

新型コロナウイルスの感染拡大で、一時は日本も医療崩壊の危機に見舞われた。

だが、日本が「不幸中の幸い」だったのは、世界各国に比べて死者数が大幅に抑え込めたことだ。

京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループによると、「実は日本人には新型コロナウイルスの免疫があった」という——。

日本政府の新型コロナウイルス対応はたびたび批判を受けてきたが、日本は新型コロナウイルス感染症による死者数が群を抜いて少ないのは事実だ。

5月21日現在の世界各国の死者数は次のページのとおりである。
アメリカ合衆国 9万3806人
イギリス 3万5704人
イタリア 3万2330人
フランス 2万8132人
スペイン 2万7888人
ブラジル 1万8894人
ドイツ    8270人
中国 4634人
ロシア 3099人
日本 784人
韓国 264人

なぜ国ごとに死亡者数に開きがあるのか、特になぜ日本はここまで死亡者数を抑え込むことができたのか。

国民から散々批判を受けた、政府の新型コロナウイルス対策が正しかったという証拠なのか。

それとも違う要因があるのか。

京都大学大学院医学研究科の上久保靖彦特定教授と、吉備国際大学(岡山県)の高橋淳教授らの研究グループは、「日本人には新型コロナウイルスの免疫があったので死者数を抑え込むことができた」という内容のプレプリントをCambridge Open Engageに発表している。

研究グループによると、新型コロナウイルスには3つの型があるという。

S型、K型、G型だ。

最初にS型が発生し、それが変異したものがK型。

武漢でさらに変異した感染力の強い型がG型だ。

今年インフルエンザ感染者が少なかった真の理由

今年、日本ではインフルエンザの感染者が少なかったといわれている。

新型コロナウイルスへの警戒で手洗いが励行された結果と見る向きもあるが、実は日本人が早期に新型コロナウイルスに感染していたため、インフルエンザにかからなかったというのが上久保教授らの見解だ。

実は、インフルエンザに感染すると、新型コロナウイルスに感染しなくなる。

逆もしかりである。

これをウイルス競合、あるいはウイルス干渉と呼ぶ。

先駆け(sakigake,S)であるS型は、無症候性も多い弱毒ウイルスなので、インフルエンザに対するウイルス干渉も弱かった。

S型から変異したK型は、無症候性〜軽症で、中国における感染症サーベイランスでは感知されず蔓延したが、日本のインフルエンザ流行曲線が大きく欠ける(kakeru,K)ほど、K型ウイルスの流入が認められたという。

武漢においてさらに変異した武漢G型(typeG,global)は、さらに重症の肺炎を起こすため、中国の感染症サーベイランスが感知し、1月23日に武漢は閉鎖された(武漢市長によるとむしろ閉鎖により約500万人が市街に流出したともいう)。

一方、上海で変異したG型は、最初にイタリアに広がり、その後ヨーロッパ全体と米国で流行した(欧米G型)。

実は日本人は早期から新型コロナに感染していた

日本政府が行っていた入国制限は、3月9日までは武漢からに限られていた。

その結果、S型とK型が武漢以外の中国全土から日本に流入・蔓延し、多くの日本人が感染した。

日本人は、武漢で猛威をふるったG型が日本に到来する前に、すでに新型コロナウイルスの免疫ができていたということなのだ。

旧正月「春節」を含む昨年11月〜今年2月末の間に、184万人以上の中国人が来日したともいわれている。

なお、G型ウイルスはK型より非常に感染力が高い。

そのため、G型に集団免疫が成立するには、集団の80.9%の人が感染して免疫を持たなくてはならないという。

一方、K型で集団免疫が成立した段階では集団54.5%しか感染して免疫を持っていないため、80.9−54.5=26.4%に新たに感染が起こる。

K型で集団免疫が成立していたにもかかわらず、日本に流行が起こったのはこのためだ。

一方、アメリカやイタリアなどの欧米諸国は、中国からの渡航を日本よりも1カ月以上早い2月初旬より全面的に制限したため、K型の流入は大幅に防がれた。

一方、S型が広がっていた時期には渡航制限が無かったため、S型はかなり欧米に蔓延した。

ADEという恐ろしい現象

実は、S型に対する免疫はG型の感染を予防する能力が乏しく、さらに、S型への抗体には抗体依存性免疫増強(ADE)効果があることが推測されている。

抗体依存性免疫増強(ADE)効果とは、抗体の助けを得てウイルスが爆発的に細胞に感染していく現象のことである。

ADEが起きている間、ウイルスは細胞内に入っていき、血中からは減るので、一見病状が改善したような状態がしばらくは続く。

しかし、ある時点でウイルスが細胞を破裂させるかのように大量に出てきて、患者の急変が起こる。

この「S型への抗体によるADE」と、前述した「K型への細胞性免疫による感染予防が起こらなかったこと」の2つの理由により、欧米ではG型感染の重症化が起こり、致死率が上がったというわけだ。

日本は武漢以外の国からの入国制限を始めるのが遅かったおかげで、K型への集団免疫ができ、感染力や毒性の強いG型の感染を大幅に抑えることができた。

他国に比べて遅いと言われた入国制限のタイミングは、逆に感染予防に功を奏したのだ。

しかし、台湾やオーストラリアなどは早期に入国制限を行ったが、こういった中国と関係があらゆる面で深い国々の場合は、武漢閉鎖時に反対に500万人の流出があったのと同じような現象も起こりうるため、入国制限直前に多数の入国があるかもしれない。

ADEと重症化の関連性は、ウイルス撃退の鍵になる

ADEが欧米の新型コロナウイルス患者の死亡率を高めたことがわかったため、ADEを手がかりに、今後どんな患者に重症化のリスクがあるかが推定できる。

妊婦、妊婦から抗体を受け取る新生児、免疫系の発達が未熟な幼児、そして免疫系が衰えた高齢者だ。

なお、ADEによりウイルスが細胞に侵入した場合、細胞の外にあるウイルスを測定するだけでは体全体のウイルス量はわからない。

ヨーロッパでは、ウイルス量が低下していたにもかかわらず重症化した患者が報告されている。

また、昨今免疫パスポートのための抗体検査の導入が世界で叫ばれている。

新型コロナウイルスなど無症状感染が多く蔓延している場合、誰が感染して誰が感染していないかの鑑別が難しい。

しばしば陽性と陰性の境界値(カットオフ値)を決定することが困難であり、カットオフ値を高く設定しすぎていると、感染の既往があったとしても、多くは陰性を示してしまう場合があることにも言及している。

また、特にK型に感染した人は、T細胞免疫が誘導され、G型の感染を予防する。

その場合は、G型ウイルスが体内に入りこめないため、むしろG型の抗体はできない可能性が高いという。

未知のウイルスの解明は着実に進んでいる

そのため、日本人の50%強は武漢G、欧米G型への抗体を持っていないと推量され、正しいカットオフ値を設定された抗体キットなら、約30%で武漢G、欧米G型への抗体は陽性になると推量し、CD4T細胞の検査(K型により獲得したT細胞免疫の評価)と正しいカットオフ値を設定された抗体キットのコンビネーションでの評価が必要と研究グループは言及している。

検査すれば簡単に白黒はっきりすると考えられがちだが、検査とはそういうものではないようだ。

新型コロナウイルス感染者を重症化させているのがADEだとわかったということは、特効薬を開発したり予防策を練ることも可能になったということだ。

新型コロナウイルスの収束まで先が見えないが、未知のウイルスの解明は着実に進んでいる。

出所:プレジデントオンライン編集部 





ウイルス学における干渉(lnterference)

日本では2019年から今年の春にかけてのインフルエンザ感染が例年に比べ圧倒的に少なかった(図表7)。

なぜ、こんなに例年に比べてインフルエンザの感染が少なかったのか。

小川: なるほど、2017、2018年に比べて、 2019年が大変少ないですね。

上久保: そうでしょう。

小川: そしてくびれがある。

上久保: そうです。くびれがありますね。図表8(92頁)を見ていただくと分りますがこのインフルエンザの流行カーブが12月23日の週に小さくくびれていますね。

これはS型が入って来た時のウイルス干渉だと考えます。

小川: ウイルス干渉とはどういうものですか。

上久保 ウイルス学における干渉(lnterference)とは、複数のウイルスが同じ人、細胞に感染しようとしたときに、
ウイルスの増殖を互いに抑制しあおうとする現象を指します。

いずれかのウイルスが吸着に必要なレセプター(受容体)を占領したり、破壊したりすることで、それ以外のウイルスが吸着することができなくなることもありますし、また、どちらか一方のウイルスが感染して、それによって獲得されたT細胞免疫によりサイトカインが放出され、他方が感染できずに排除されるという事もあります。
そうした一連の仕組み、メカニズムが「干渉」です。

小川: それは定説ですか。新しいお説なんでしょうか。

上久保: インフルエンザとコロナのウイルス干渉については既にマウスでは知られています。またインフルエンザと非インフルエンザ呼吸器系ウイルスとして、RSV(呼吸器の感染症の原因であるRSウイルス)とライノウイルス等のウイルス干渉は知られています。
ただ、インフルエンザとヒトのコロナウイルスの間でのウイルス干渉はまだ報告がありません。我々が初めて疫学的に証明していると思います。

小川:なるほど。ウイルス干渉自体は既に知られているが、今回のケースをそう見たのは先生方が初めてというわけですね。 確かに、今年のインフルエンザの流行カーブを見ると、各県で驚くほど同じパターンのくびれが、全て同じ週に生じていますね(図表8)。
こんな奇妙な現象が各県でばらつきなく生じるのは確かに強力な原因がなければならないとは、私のような素人でも感じます。それで、この小さい方のくびれがS型が中国から入った影響だとすると、大きくカーブを止めてしまう方はどういう事になりますか?

上久保: この大きくインフルエンザの流行を止めた方はK型が中国から入った時期を示すと考えます。インフルエンザのカーブが強く抑制されていればいるほど、K型が充分に入ったことを表わすのです。 私達は、いつS型が上陸して、いつK型が入り、インフルエンザを抑制したかを、インフルエンザの流行カーブを解析することによって捉えました(図表9)。

小川: このインフルエンサのくびれがウイルス干渉である事、そうした相関性が新型コロナとの間で生じているというのは仮説に過ぎないという批判があります。その点についてはどうお考えになりますか。

上久保: そうした批判は度々頂戴します。たしかに、これは世界中誰も試みた事がない。しかし、コロナウイルスは、その多くが無症候者間の感染ですから、いつ上陸して、どう展開したかは、他の方法では追跡しようがありません。そうした全く暗中模索の状況に対して、インフルエンザとの相関性を利用して一定の手掛かりを与えようとしたのが私たちの方法論です。

小川: なるほど。コロナウイルスは無症候が大半だというお話は前章で伺っていますね。確かに、そうすると、感染の状況を実際問題として把握することは不可能なわけだ。

上久保: ええ、今回の拡大期にはPCRも抗体キットも何もなかったわけですから調べようがありません。

小川 そこで、先生方が着目したのは、実は毎年、世界中でインフルエンザについては、定点観測がある。それぞれの国で精度や基準に差はあるでしょうが、これはまず大きな意味で安定的に使用できる指標だ、と。日本でも各都道府県で定点観測をしているし、世界中、各国がやっている。

上久保: そうです。実は、感染症は発展途上国においては先進国よりもずっと深刻な問題なので、インフルエンザのサーベイランス(発生動向調査)は、全世界、どんなところでもやっています。インフルエンザの流行カーブは、どこの発展途上国も統計学的につくっています。だから、日本はもとより世界中のインフルエンザ感染曲線が利用できました。

小川: その定点観測をしているインフルエンザの感染カーブに異変があったかどうかを見てみたわけですね。

上久保: すると、確かに世界中で興味深い変化が起こっていたんです。           

小川: なるほど。無症候感染症の追跡に世界中で定点観測の存在するインフルエンザの感染曲線を利用するーそこに着目じただけでも、私のような素人目には大きな科学的前進のように思えますね。それで先生方の調へたところ、日本のインフルエンザ曲線では2度、このくびれが起こっている。

上久保: ええ、図が示している通り、2つのくびれを感知することが可能です。S型が12月22日の週に多く入ったことがわかります。小さなくびれがそれに当たります。その次に、 1月10日、13日の週に大きく抑制されているというパターンに、どの都道府県もなっていますね。
充分にこのS型が入って、最初からインフルエンザの山が低く抑えられて、そこにK型が入ったら、感染拡大を示す面積は最も小さくなります。
逆に最も多かったのは北海道です。北海道は当初コロナが抑制されにくかったですね。

小川: インフルエンザの感染曲線は、通常ですとこういうくびれはないのですか。

上久保 はい、通常はこうなりません。ただし、後でお話しますが、今回のようなパターンは恐らく約10年に1回の頻度で起きていると考えられます。
コロナに感染した人はインフルエンザに感染できない

小川: このインフルエンザの数値は信頼できるのですか。

上久保: 日本のインフレンザレベルマップは、厚生労働省・感染症サーベイランス事業により、全国約5000のインフルエンザ定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数が週ごとに把握されています。
過去の患者発生状況をもとに基準値を設け、保健所ごとにその基準値を超えると注意報や警報が発生する仕組みになっています。
しかし、各国で基準や精度が異なりますし、日本でも定点観測拠点は各都道府県が病院を選定してやっているのですが、数がまちまちです。単純に足し算しても何の意味もない。罹患者の絶対数は分りません。
そこで私たちは人口比や注意報と警報の差などを推計した独自の計算式を考案し、山の抑制率を見るという方法をとりました。

小川: なるほど、抑制率に換算すれば、確かに精度や基準のばらつきは均されますね。
いずれにせよ、2019年は、2017、2018年に比べますと、3分の1ぐらいの山 になっている。
元々山が低いというより、明らかにインフルエンザが中途で消えてしまったように見えます。

上久保: それがウイルス干渉だろうと考えたわけです。
感染力の強い方が、弱いウイルスを駆逐するわけです。今年の新型コロナウイルスはスパイクに変異が入り、大変感染しやすいウイルスになっていました。

小川: その辺りのメカニズムをもう少し詳しくご説明頂けますか。

上久保: はい。皆さん、風邪をひくと熱が出ますね。なぜ熱が出るかというと、T細抱からインターフェロンガンマ(IFNーγ)、IL12、TNFーβなどというサイトカインが出るからです。

小川: サイトカインとは何ですか

上久保 サイトカイン(cytokine)は、細胞から分泌される低分子のタンパク質の事です。生理活性物質、生理活性蛋白質とも呼ばれます。インフルエンザに感染すると、我々のもっているTリンパ球がそれを認識して、サイトカインを放出します。このサイトカインがウイルスをやっつける。
反対に、コロナウイルスに感染した場合でも、それを認識して、サイトカインが出る。
その場合、コロナで既にサイトカインが出ていると、インフルエンザが体内に入ってこようと思っても入ってこれない。
だから今回起こったことは、コロナに感染した人は、インフルエンザに感染できない。で、インフルエンザに感染した人は、T細胞免疫が起こって、ワァーと熱が出る。そうするとそこにはコロナが入ってこれない。
これは実は人間では言われていないけども、マウスのコロナとインフルエンザはそういう関係にあるということは論文があります。

小川: なぜ人間では言われてこなかったのでしょうか。

上久保: 調べようと思っても、例年並みの状況の時には、人間がコロナに感染しているからインフルエンザに感染しないなんて、どうやって調べるか。調べられない。動物だったら調べられるでしょうけれど。

小川: 人間を実験材料にできないという事ですか?

上久保: それもそうですが、そもそもパンテミックという巨大な現象については疫学でしか証明できないですよ。実験室で個体を見ても、世界で展開している現象は想像がまったくつかないです。

小川: そして、コロナの状況を把握するのにインフルエンザとの相関性からアプロー チできるのは、インフルエンザは、症状がはっきりしているからですね。

上久保: そうです。

小川: しかも世界中で定点観測がある。その感染カーブに異変が起きた。そうすると、 それは推論として、何かそこに原因があるが、先生方はそれがコロナではないかというふうに想定されたわけですね。

上久保: 大体10年サイクルで変異による感染者増があると考えていますが、かつて誰も調べていなかった。

小川: 大問題になる手前で済んでいるから、研究者も着目をしたことがなかったんですね。

上久保: 気がついていなかったですね。気がついていないことが多いですね。
たまたま今回は、武漢でパニックが起きたから、気がつきましたけども、気がつかないまま、何となく終わっているということは多数あります。

小川: 過去にもインフルエンザの感染曲線がくびれたり、山が低い年など確認できますか。

上久保: あります。おおよそ10年サイクルであるのではないかと想像しています。『I DWR感染症週報』(2020年第25週〈6月15日〜6月21日〉通巻第22巻第25号)が示すように、今回の山と同様、例年に較べ、非常に低い山が2010年にもあります(カラー図W)。
だから、可能な限り、今後過去に遡って全部検証していくべきと思いますね。

出所: ここまでわかった新型コロナ 上久保康彦・小川榮太郎 発行WAC株式会社




   



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